2023/03/01 14:56

マレーシア南部のジョホールバルに、YT-YFさんを訪ねました。

ジョホールバルはマレーシア最南端に位置し、人口50万人が住むマレーシア第3の都市。

日本からはマレーシアの首都クアラルンプールへ、KLから乗り継いで約40分で到着します。

私は羽田空港から深夜便に搭乗し、クアラルンプールには早朝に到着。乗り継いでジョホールバルに到着したのは午前10時半頃。強烈な暑さかと覚悟していましたが、室内はエアコンが効いており外は27℃前後とカーディガンと半袖で過ごしやすい日でした。すぐ南にはシンガポールが位置する、中華系、マレー系、インドネシア系などが住む国際色が強い街です。


そんな温かいジョホールバルにYT-YFさんのアトリエを訪ねました。



自己紹介をお願いします


約1年半前に夫婦で始めたブランドが「YT-YF」です。

陶芸家で妻のYTと、同じく陶芸家で夫のYFのユニットです。鉢の底面にサインを施しています。


↑窯場


私たち日本通で過去に10回以上訪問しており、私たちのブランディングや作品に多大な影響を受けています。素晴らしい文化を持った国だと思っています。同時に、学生時代に二人でロンドンに3年間留学していた経験があり、クラシカルな西洋文化も作品に取り入れています。


YFは生まれも育ちも、ここジョホールバルの出身です。

昔からとてもアグレッシブな少年で、よく話す子供でした。その時にやりたいと思ったことをトコトン突き詰めるタイプで、ベストを尽くすのが好きです。



↑窯場


YFは高校時代にジョホールバルに来た、少し遠い田舎の出身です。私と正反対で常に落ち着いていて、冷静に行動出来ます。長い付き合いで、昨年赤ちゃんを出産してくれました。念願だった男の子が生まれ、現在7ヶ月です(奥様にそっくりで目がクリクリしていてめちゃくちゃ可愛い男の子でした!)。出産後はヘルパーさんを雇いながら妻も仕事していますが、出産前と比べて生活は激変しましたね。ちなみに私たちは中華系で、仏教です。生活では中国語を、仕事では英語を使い、学校ではマレー語も習いました。マレーシアの人々はだいたい3ヶ国語は話せると思います。


私たちはどちらもデザインを学んでおり、正反対の私たちの性格は力強くラフで繊細で緻密なデザインに活かされていると感じています。


展開しているビジネスを教えて下さい


ジョホールバルのニュータウンにて経営しているヘアサロン「おじさん」のオーナーです(店主:本当におじさんという名前の店舗でした)。また、主に店舗や家のインテリアデザインも得意としており、仕事があります。少し前、原宿の店舗のインテリアデザインを手掛けました。5年ほど前にはコーヒートレーナーのマレーシアチャンピオンにも鳴ったことがあります。ここ最近は自宅で作陶に没頭しています。

妻は子育てをしながら作陶やデザイン、更に経理や税金関係のファイナンスの仕事もしてくれています。



↑YT-YFさんが所持する珍奇植物コレクション


前述の通り、約1年半前に陶芸家ユニット「YT-YF」として活動を開始し、植木鉢に特化して作陶しています。アガベやパキプスなどの多肉・塊根植物を趣味で育てているのですが、自分がデザインした植木鉢に合わせたい!という気持ちからスタートしています。


有り難いことに日本や香港を中心に世界中の店舗とお取引させて頂いており、縁があってOMBLEさんにも取扱い頂いています。皆さんこちらに来てアトリエを見たい、と言ってくれます。本当に来たのはあなたが初めてでかなり驚きましたが(笑)


パンデミック中、師匠であるマスターに作陶を教わり、2021年にデビューしました。デザイナーという事もありデザインは無限に湧いてきます。長年住んでいたロンドンを中心とした欧州の文化からはカトリック教会などに見られるアークや柱を、大好きな日本文化からは、京都の寺院や侘び寂び、禅、ミニマリストの文化からデザインの発送を得ています。どの陶芸家も尊敬していますが、Raw life factoryさんや小野瀬さんの作品を見ると、作れば作るほど感銘を受けますね。世界中を見ても、トップのアーティストだと思っています。私たちも彼らに近づけるよう、自分たちの道やデザインを信じて作陶しています。



↑YT-YFさんが所持する珍奇植物コレクション


作陶の手順を教えて下さい


マレーシア産の粘土を使っています。マレーシアには日本のような黒土が無いので、赤土、白土、濃い灰色の土など、4~5種類の粘土をテクスチャに合わせてブレンドしたり、そのまま使っています。どのシリーズか、どの作品かによって使っている粘土が異なります。


↑土や釉薬が整理整頓されている


轆轤に関しては、電動ろくろを利用しています。手びねりや紐作りでは作陶しておらず、100%轆轤を使っています。日本以外の轆轤は逆時計回りが多いと聞きますが、私の轆轤は日本の大部分と同じ時計回りで、実はスイッチひとつで左右どちらに回るか切り替えが出来ます。ろくろは一台のみで、夫婦で兼用しています。


↑自宅に設置している電動轆轤


こだわりは土練機を使わず、菊練りをひたすら繰り返す事ですね。マスターのアトリエにある土練機を使っていたのですが、自分で菊練りした方が破損やダメージの観点からバランスが良いと思いました。一点一点、全て時間と手間暇をかけて菊練りしています。


基本は一点挽きで、芯をとって土殺しをする事からスタートします。作り方は日本の作家さんたちと同じかと思います。殆どの作品は5分~10分程度で仕上げる事が出来ます。作品の中にあまり造りたくないような複雑な作品があるのですが、それは10~15分くらいかかりますね。


成形してから乾燥室で乾燥させます。東南アジアは高温多湿かと思われるかもしれませんが、意外なことに丁度良い程度に乾燥していて、性能の良いエアコンの風と高い天井につけたファンを併用することで、手頃なサイズなら12~24時間で乾燥します。殆どの場合、成形した次の日には削れるのでスケジュールがし易いですね。日本のように激しい季節の変化がありませんので、年中を通してスムーズに作陶できるのが利点でしょうか。



↑乾燥中の作品


私たちの作品の特徴の一つが、削りだと信じています。削るときは身体が続く限り、無心で削り続けます。例えばOMBLEさんで販売しているdamigiというシリーズは、シンメトリーな西洋的な作品として成形し外側を削っておいて、雷が直撃したかのような激しいエイジングというイメージでダメージを入れています。釉薬も含めて言うと、vintageを表現しています。


削りの段階でダメージを入れていたり欠けなどを表したりしています。同じシリーズでも唯一無二のものが出来るのが作っていても楽しいですね。Extra damigiという作品では、器体の内側から外側に指で強く力をかけ、局地的に土を外側に盛り出して装飾していたり、シリーズによってアクセサリーを装飾したりするための穴を空けていたり、異なった土で作ったドクロマークを器体に付着させたり、YT-YFの特徴的なVisualの部分は、この削りの作業で行っています。



↑アイアン作品棚


削りを終え、しっかりと完全に乾燥させるまでを自宅のアトリエで行っています。

ここから車でマスターのアトリエに作品を持ち込み、ガス窯にて素焼きを行います。だいたい温度は900℃、24時間くらいかけてしっかりと比較的高温で焼成します。


次に釉薬を掛けます。私たちの特徴がしっかりと出ていると思うのですが、釉薬は全て原料から取り寄せています。自分たちが原料を独自のブレンドで混ぜ、完成したものが7種類あります。例えばゴールド、ブロンズ、チャコールブラックやシルバーブラックなど、私たち夫婦しかブレンドの割合を知らないです。この釉薬にはかなりのこだわりを持って作っており、言葉で説明するのは難しいですが、なるべく均一に色が出るよう、且つ作品によって個性が出るよう、毎回毎回試作をしたり焼く場所を変えたりして勉強しています。何種類も釉薬を使い続けることは、常に新しい景色に出会うための努力と信じて試行錯誤しています。


釉薬は比較的サラッとしていますが、注意することは深すぎず、厚すぎず、ですね。作品によって、ブラシや刷毛でサッと塗るように掛けたり、ペンを使ったり、チャッポンと浸したり。コンプレッサーで吹きつけましたが滑らかな景色になる傾向がしたので辞めました。作品によって、釉薬をブラシで2~3種類レイヤーしたりするのも私の特徴です。ブロンズベースでゴールドを差したり、ブラックとゴールドとブロンズを重ねたり。試作とフィーリングです。どの作品も基本的には本焼きは1回のみです。釉薬を重ねるごとに焼成したりはしません。



↑ウッディな作品にもこだわりが。


本焼きは素焼きと同じガス窯を使います。目標温度は1250℃、ガス窯なのでガス圧や炉内の温度の監視をしなければなりませんし、黒煙が出るので近所にも気を使います…。だいたい冷めるまで2日間くらいでしょうか。毎回、目標温度に達してから空気が入らないように燻して炭化焼成を行い作品に景色を与えています。本焼き後、底の部分を丁寧に処理して、作品が完成します。


私たちの作品は、DamigiやCrown,Crossなどのシリーズに分類していて、初期の型も合わせると約14~15種類くらいはありますので、是非シリーズで揃えて欲しいですね。



↑デザインを自ら手がけた自宅でお話しました


OMBLEなどを通じて購入して頂いている日本の皆さんにメッセージを下さい


愛する日本の皆さん、いつもYT-YFの作品をご購入頂き本当に有難うございます。遠くマレーシアの最南端から、私たち夫婦が愛を込めて作品を作っています。皆様の大切な植物に合うような素晴らしい作品を提供出来るよう、これからもハードに作陶したいです。これからもOMBLEさんを通じて、是非私たちの作品を手にとって下さい。

私たちは日本文化を、日本を愛しています。私は妻に原宿でプロポーズしました。一番好きな街は京都で殆ど大都市を旅しましたが、新しい家族も増え、今年の後半には東京、大阪、そして初めての福岡にも行ってみたいと思っています。もしお会いしたらご挨拶させて下さい。



↑奥には温室があり、植物が生い茂っています


↑素晴らしいセンスが溢れるご自宅でした…


YT-YFさんの作品はコチラから

https://omble.base.shop/categories/4857238


OMBLE:

最後までお読み頂きまして誠に有難う御座いました。

学生時代に日本文化や西洋文化に魅せられ、自らのデザインに取り入れ、デザイナーとして成功したYT-YF氏。現在もデザイナーを手掛けながら様々な事業を展開し、自分のコレクションを自らの作品に植えることから始めた作陶に魅せられています。

どの作品も素晴らしい個性で、私もプライベートで鉢を使っています。彼らにお会いすることが今年の夢のひとつで、早々に実現して皆様に少しでも知っていただける機会があり嬉しく思っています。

これからもYT-YFさんの作品を数多く取扱いますので、引き続きチェックお願い致します。