2022/12/03 10:54

独特のセンスを放ち見るものを魅了している新進気鋭の作家「草冠」さん。

そんな期待の若手と同じ街に住んでいる事が分かりました。家から30分かけて…お会いして来ました。



作家までの道のりを教えて下さい

美大にて建築デザインを修了後、2年弱転々としながら3Dモデリングや造形などを勉強しました。もともと塊根・多肉植物を育てるのが好きで植木鉢を作り始めました。あとは、ゲームや映画鑑賞が趣味で、空想やファンタジー系が大好きですね。


草冠は植物の玉座を制作しています。ヨーロッパ中世の建築様式であるゴシック様式やルネサンス様式に魅せられていて、中でも一番の好みはバロック様式です。バロック様式はシンメトリーで、凸凹やうねりがあり、豪華且つ繊細でダイナミックで、草冠の作品に大きな影響を受けています。近代的よりも中世的なヨーロッパや、遺跡や遺構のイメージで作品をデザインしています。


モルタル玉座の作り方を教えて下さい

最初に3D-CADで「型」のモデリングをします。

中世ヨーロッパや遺跡のイメージをこの段階で具現化してデータに落とし込んでいきます。


完成したデータを、光造形方式の3Dプリンターを使ってプリントします。

プリントして完成したモノを「型」と呼んでいます。型のプリント時間ですが、小さい植木鉢で6時間程度、大鉢になると数日間かけてプリントすることもあります。3Dプリンターを運用している方はご理解いただけるかと思いますが、このプリントが本当に難しく、安定するまでにモデリングを含めて非常に難易度が高いです。


完成した型の中身は空洞で、この部分に石灰と水と砂などを調合したモルタルをゆっくりと流し込みます。乾くまでに天気にもよりますが丸1日くらいかかります。


3Dプリンターの型にモルタルが挟まっている形になって乾くのですが、陶芸の鋳込と違って複雑な形状でスポッと抜けないので、型をゆっくりと剥がしていきます。この剥がす作業が一番丁寧に時間をかけて行う必要があって、モデルによっては柱を採用しているものあり、慎重に行います。外側も内側も全ての型を剥がします。


型を剥がして処理をした後、モルタルがアルカリ性なのである薬品に数時間、作品全体を浸して中和処理を行います。この処理をすることで植物に利用しても全く問題なく使えるようになります。


錫合金玉座の作り方を教えて下さい


錫合金場合、同じく3Dプリンターの型にドロドロに溶かした錫合金を流し込みます。


数時間経って固まった後、同じように型を剥がします。

取り出した器体はまだ色味が鈍いので、時間を掛けて丁度よい光沢を出すために研磨します。

一つ一つ丁寧に時間を惜しまず研磨することでラグジュアリー感が出るようになります。

下の写真はどちらも完成していないですが、左は研磨中、右は未研磨となります。


使用上の注意はありますでしょうか?

1つ1つ手作業で制作していますので1つとして同じものはありません。

作品に個体差がありますし、モルタル玉座ならではの気泡や欠けなどは個性として捉えて、長く使って頂きたいです。丁寧に中和処理をしているので使用上の注意は特にありません。


錫合金の玉座の場合、錫の割合は80~90%の合金で、融点が70℃程度と若干低いので少し注意が必要です。真夏の炎天下でも全く問題ありませんが、例えば真夏の炎天下に黒い鉄板の上に置いた状態(という状況があるのか分からないですが)ですと溶け出す可能性があります。通常に使って頂く分には問題ありませんので、ガンガン長い年月使って頂いてエイジングを楽しんで頂ければと思っています。


OMBLE:最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。

草冠さんとは店主とたまたま近所で同じ街に住んでいます。今後ともお互い高め合えるような存在になれたら…。そう思えるような若くパワーを秘めた青年でした。是非、モルタル鉢にお気に入りの植物を入れてガンガン育てて下さい。


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