2022/11/12 07:34

高尾の山が紅葉に染まる頃、上島かな子氏を訪ねて陣馬高原を訪ねました。

高尾のそれよりも山深く、聞けば猿と猪、鹿などの獣害も多数ある山間の村。

改めて東京にこんな大自然が残されていたのかと感じさせられた素敵な地でした。



陶芸と出会うまで

東京都八王子市の陣馬高原近くで育ちました。血液型はB型です(笑)。

祖母が陣馬高原で陶芸教室を営んでおり、幼い頃から土と触れ合う機会や、ギャラリーも併設されていて、祖母がものづくりする姿を見て育ちました。


多摩美術大学環境デザイン科に入り、建築やインテリアデザインを学びました。

卒業後、会社勤めを10年経験し、住宅設計、商業施設や家具などデザインしており、2DのCADを使いこなし、直線を描いて図面を描いていました。


30歳になる前、仕事をしながら祖母のアトリエで陶芸をし始めました。

最初は手びねりからものづくりを初めて、もっと上達したいとの気持ちから陶芸教室を探して、陶芸家・保立剛氏と運命的な出会いました。


陶芸により本腰を入れたいとの想いから、都内で働くのを辞め、地元の市役所で働きながら教室に通い基礎を叩き込んでもらい、自身のアトリエでも作陶に打ち込みました。5年後、気がづけば直径50センチを超えるような大作を作れるようにまでなりました。


陣馬高原の四季を教えて下さい

春は一瞬で終わります(笑)

光が鮮やかで、淡い緑が生えてきて5月頃になると新緑になり一年に一番美しい時期です。


夏はそこまで暑くはなく、エアコンが必要になるのは僅かで、比較的都会と比べて過ごしやすいですが、ムカデなどの虫が多くなる季節で、地元でも蚊帳で寝る人もいます。


秋からは、山間なので朝10時か11時に日が出てきて、14時は陰りますが紅葉が美しいです。

一年を通じて一番獣害がある時期で、そこら中に罠や電気柵を仕掛けています(笑)が、猿はそのあたりを熟知していますし、猪や鹿、モグラなどが頻繁に訪れてきます!


冬は長い季節です。各家、薪ストーブと灯油ストーブが必需品で、マイナス10℃は覚悟します。12月の終わりから1月が一番寒いですね…


生活自体は、車があれば全く不便ではなく、総じて良い土地ですよ。


陣馬山の麓で調麓窯を開窯

2020年に独立、祖母から受け継いだアトリエ「調麓窯」を開窯しました。

この辺の一体を「長六」と呼び、その韻を残し「山麓の調べ」という言葉に置き換えたものですが、祖母が付けていたアトリエの名前でもあります。


開窯後、比較的すぐに近所の植物屋さんからの声掛けで「植木鉢」の制作依頼を受けました。以後、コンスタントに植木鉢を作陶しており、植木鉢を作り始めたことで、これまで作ってきた器や花器とは全く違うご縁があることに驚いております。


「調麓窯」へは高尾駅からバスで約30分、そこから徒歩2分でアクセス出来るので是非遊びに来て下さい(完全予約制)


制作の手順について

扱いやすい京都などの土を仕入れ、白土、黒土や調合したり、作品によって使い分けています。

基本的に電動ろくろで「一個挽き」で成形しています。使う土の量は多い方だとは思いますが、削る量が多くならないように成形しています。


成形後、乾燥をさせて完成後をイメージしながら削ります。

底部分の高台は3箇所入れるようにしたり、排水穴の大きさについては、植物の事を考えて削っています。シャープな削りであったり、鎬が特徴です。特に鎬は手に取ってかきべらを使って丁寧に作業しています。


削って完全に乾燥したら、電気窯で素焼きをします。素焼き後、撥水剤を高台部分に塗って、釉薬をズブッと自然に垂れるように掛けます。


オリジナルレシピの釉薬が2種類あり、「金色と黒色」に大きく分類しています。

金色に近い作品を「ブロンズ釉」、黒色に近い作品を「マンガン釉」と呼んでおり、作品によって掛ける釉薬を決めています。ブロンズ釉のものは白土で、マンガン釉のものは黒土で成形するようにしています。現在も、レシピを改良しながら日夜研究しています。


金色が好きで、今日もカーキのダウンを着ていますが(笑)、金色っぽく作りたかったのがスタートでした!


本焼きは電気窯で1240℃。完全に冷めるまでに3~4日かかりますが、取り出して後処理し、ようやく完成します。

処理は砥石で研いで洗いますが、うつわは植物性オイルで塗ることもあります。


植木鉢の作陶は、装飾性が高く、形の自由度が高く、デザインを攻めても良いので、自分を自由してくれる感じが非常に好きですね!


イベントへの出店が多いイメージがあります

有り難いことに今は呼ばれて出店することが多いですが、来年は自分からクラフトフェアなどに出たいと思っています。月に一回くらい、何かしらのイベントに出たいです。



OMBLE :最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。

優しくおおらかな方だったであろうお婆さんの温もりが残る綺麗なアトリエで作陶されている個人作家の上島かな子さん。

シャープで大胆な、且つ力強い作品は、上島さんの開放された自由を表現された作品だと感じました。

紹介して頂いた近くのイタリアン、最高に美味しいのでお近くに来られた際は是非寄って下さい。


上島かな子 https://omble.base.shop/categories/4773196